役員報酬は期末の状況を見込んで、期首に決める

役員報酬の設定の難しさは、期末の状況を見込んだ上で、役員報酬を期首に決めなければいけない、という点です。

なぜなら、役員報酬の金額を、期中に変更することができないからです(期中に役員報酬額を変更すると、税務上役員報酬の一部が費用化できず、多額の税負担を伴うことになってしまいます)。


そこで、期首時点で期末の利益水準を予測したうえで、税金・社会保険料がもっとも少なくなるように役員報酬を設定することになります。

言葉で書くと簡単なのですが、これを実行に移そうとすると、山のように問題が出てくるのです。

会社設立直後だと、利益が読めない!

会社設立時に役員報酬を決める場合、この壁にぶちあたることが多くあります。

特に、新規に事業を立ち上げる場合には、実際に運営してみないと利益がいくらになるのかさっぱり見当がつかない、というケースがあります。


このような場合、役員報酬を適切に決めることができませんので、自分が欲しい生活費の水準をベースに決めるしかない、というのが実情です。

ただし、法人の利益が出すぎてしまった!、という場合には、ある程度ならば、テクニックを駆使して利益水準を落とすこともできます。ですから、基本的には役員報酬は、心持ち少ない目に設定しておく、というのが無難ではないか?と思います。

期首の利益見込みと期末の利益実績がぶれる!

当たり前ですが、期首時点での利益見込みと期末時点での利益実績には乖離が生じます。

そのため、役員報酬は期首時点での利益見込みだけに基づいて決めると思わぬ失敗をするケースがあります。


役員報酬のシミュレーションをしているとわかるのですが、実は、役員報酬の決め方によっては、利益がある水準に減少した瞬間、いきなり税負担があがる、というケースがあったりするのです。

例えば、月額の役員報酬を100万円に設定している場合。思わぬ税負担がふりかかるかもしれませんから、注意してくださいね。


ですから、単純に期首時点での利益見込みに基づいて、税負担・社会保険料負担が最小になる役員報酬額を決めればいい、というものでもなかったりします。

むしろ、役員報酬の設定にあたっては、期首時点の利益見込みに照らせば必ずしも税負担・社会保険料負担が最小ではないとしても、利益が多少ぶれても税負担・社会保険料に大きな変化が生じないような役員報酬の水準を設定すべきだと思います。

(極論すれば、最終的な利益がいくらになるかなんて、誰にもわかりません。ですから、利益が多少ブレても大丈夫なように役員報酬を決めないといけません)

税負担・社会保険料負担が最小になる役員報酬はどれくらい?

これは、役員構成や利益水準により大きく変わるので、一概には言えません。

ただ、私の感覚では、結局のところ、利益を法人・個人に適切に分配して、法人・個人両方が、そこそこの利益(所得)を出しておく場合が、最も税負担・社会保険料負担が減るのではないか?と思っています。


ちなみに、よく言われる俗説で「法人が赤字になるような役員報酬の水準を設定する」と税負担が軽減される、という話がありますが、これは、必ずしも望む結果が得られない場合が多いです。


確かに、法人を赤字にすれば、法人税は、ほぼ0になります。

でも、実は、法人が赤字になる水準に役員報酬を設定してしまうと、社会保険料が高額になってしまい、結局手取りは少なくなってしまうことが多いのです。


また、そもそもの話として、法人が万年赤字だと、税負担すらも最小化されていなかったりします

このような状態の場合、役員報酬を下げても会社に法人税は課税されません。一方で、役員報酬を下げれば所得税は減ります。つまり、役員報酬を下げて法人の利益を出したほうが、税負担は減るのですが・・。もったいないですね。

会社を経営していると、黒字決算で税金を納めるのはもったいない、という意識になる時もあるかもしれません。でも、実際には、適度に税金を納めている状態が一番、手取り収入が多かったりするのです。

結局、役員報酬はいつ・どのように設定すればいいの?

結論は次のようになります。

向こう1年の利益水準が予測できる場合
→その利益水準で、税額・社会保険料負担が小さくなる役員報酬額にする(ただし多少の利益のぶれも考慮して決める)
利益水準が全く読めない場合
→適正な役員報酬額は決められないことが多いので、通常の生活費分を目安にして役員報酬額を決める

とはいえ、税務や社会保険に詳しくないと、実際に役員報酬のシミュレーションを行うことは困難だと思います。ですから、本気で役員報酬の適正水準を決めたいと思うのならば、税理士等の専門家に相談して決めることを強くお勧めします。

次の記事

消費税で損をしない

実質0円で会社設立 詳細はこちら>