会社を作る。その後、様々な提出書類が待っている
会社を作って、設立登記ができた!
・・・とほっとしているのもつかの間、大量の提出書類が待っています。
例えば、こんな提出書類があります。
提出先 | 提出書類 |
---|---|
税務署 | 法人設立届出書 |
青色申告の承認申請書 | |
給与支払事業所等の開設届出書 | |
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書 | |
申告期限の延長の特例の申請書 | |
都道府県税事務所、市町村役場 | 法人設立届出書 |
社会保険事務所 | 健康保険厚生年金保険新規適用届 |
健康保険厚生年金保険被保険者資格取得届 | |
健康保険被扶養者(移動)届 |
この中で、特に重要なのが、青色申告の承認申請書です。
法人の場合、白色申告にしても記帳が簡単になる、というわけではありません。
一方で、青色申告にしておけば、様々な税務上の特典があります。そのため、次のように税金が安くなることがあるのです。
- 繰越欠損金の繰延(赤字の繰り延べ)
- 開業初年度は、先行して経費が発生してしまったため、100万円の赤字になってしまった。
しかし2年目は順調に300万円の利益が出た。
開業初年度の赤字100万円と通算することができ、300万円-100万円=200万円分の利益に税金を払うだけですんだ。
その結果、約30万円の節税ができた。 - 欠損金の繰戻し還付の請求(赤字を前期の黒字と相殺)
- 前年は200万円の黒字だったのに、今年は業績が悪化し150万円の赤字になってしまった。
しかし、まだ開業5年以内である等の要件を満たしていたため、前年の黒字と相殺することができた。
その結果、前年に収めた税金60万円のうち、60万円×150万円(今年の赤字)÷200万円(前年の黒字)=45万円を取り戻すことができた。 - 中小企業等投資促進税制
- 今年は1台200万円の機械を購入した。
中小企業等投資促進税制の適用を受けることができたため、税額控除を受けることができた。
その結果、200万円×7%=14万円について、法人税を支払わないで済んだ。
これらは、すべて、青色申告をしたことにより受けられる法人税法上のメリットの一例です。
一方で、もし、あなたが青色申告の承認申請書を提出せず、青色申告をしていなかったとしたら、もっと多くの税金を払う必要があったのです。
たかが、書類を提出しなかった、というだけの理由で、何十万円もの税金を多く支払わなければならなくなる可能性があるのです。
他の提出書類についても、法律で提出が義務化されていたり、提出しないと、後々になって不利益を被るものがありますので、こちらも専門家に相談することが重要です。
会社設立後にも提出書類は山のようにある
上で書いた書類は、あくまでも会社設立直後に提出しなければいけないものです。
このほかにも、設立期末までに提出しなければいけない(あるいは、提出するかどうか判断しなければいけない)書類もあります。
提出先 | 提出書類 |
---|---|
税務署 | 棚卸資産の評価方法の届出書 |
減価償却資産の償却方法の届出書 | |
消費税課税事業者選択届出書 | |
消費税簡易課税制度の選択届出書 |
上で並べた提出書類の数を見ると、たいしたことないように見えるかもしれません。
でも、ここで重要なのは自分が提出すべき書類を網羅的に把握した上で、もれなく提出することです。
もれなく提出するというところが重要です。
自分が「思いついた」書類を提出するだけではなく、「提出すべき書類」を「もれなく」提出しなければ意味がないのです。
国税庁、社会保険事務所や労働基準監督署等のホームページを見て、届出書類を網羅したうえで、必要な書類を提出することができればいいのですが、経営者がそんな時間をかけている場合ではないはずです。
やはり、専門家に支援を受けるのが一番だろうと思います。
一般に提出書類を出さないことで不利益が出るのは税務の面であることを考えると、これらの書類を提出するにあたっては税理士の支援を受けるのがベストだと思います。
ここを下手にケチって、提出すべきものを提出しなければ、結果として、税金を多く納付せざるを得なくなり、かえって痛い目を見ることにもなりかねません。
特に消費税で損をしないの記事で書きましたが、消費税については、選択を誤ると何十万円単位で損をしてしまう可能性も充分にあり得ます。
そのため、どのような書類を提出するかについて、綿密にシミュレーションをしたうえで、方針を選択する必要があります。
消費税は税理士でも誤るリスクが高い税金として有名です。
ましてや素人判断では、さらにリスクが高まることは間違いないでしょう。
提出書類で不安を感じるのがイヤだ、と感じられるのなら、迷わず、税務の専門家である税理士に相談するようにしてください。
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